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掲載日:24.05.01

帝国データバンク/価格転嫁に関する実態調査~運輸・倉庫は転嫁率依然2割台

 帝国データバンクは、「価格転嫁に関する実態調査(2024年2月)」の結果をまとめました。全業種平均の価格転嫁率は40.6%でした。「運輸・倉庫」は27.8%で前回調査(2023年7月)より進展がみられるものの、依然として2割台にとどまっています。
 長らく続く原材料価格やエネルギー価格の高止まりが企業収益を圧迫し続けるなかで、自社の商品・サービスに対しコスト上昇分を「多少なりとも価格転嫁できている」企業は75.0%と7割超になりました。一方で、「全く価格転嫁できない」企業は12.7%で、依然として1割を超えています。
 コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率」は40.6%と、前回調査から3.0ポイント後退しました。これはコストが100円上昇した場合に40.6円しか販売価格に反映できず、残りは企業が負担していることを示しています。「ある程度は価格転嫁できたが、エネルギーや原材料の上昇はとどまることを知らず、全く追いついていない」といった声があがりました。
 業種別にみると、価格転嫁率が高い主な業種は「化学品卸売」(62.4%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売り」(60.6%)などで、低い業種は「医療・福祉・保健衛生」(13.0%)、「娯楽サービス」」(17.1%)、「金融」(18.2%)などで2割を下回りました。卸売と比べて、製造や小売では価格転嫁が進まず厳しい状況がうかがえます。
 サプライチェーン全体にかかわる「運輸・倉庫」は、前回より多少の進展はみられるものの依然2割台にとどまり、企業から「荷主からの二次請け三次請けが普通であり、荷主に対し直接値上げ交渉ができない」といった声が寄せられました。
 帝国データバンクは、価格転嫁に対する理解は醸成されつつあるものの、取引企業との関係上これまで以上に転嫁の実施が難しいことが浮き彫りとなっている。これ以上の価格転嫁を進めてしまうと、消費者の購買力の低下による景気の低迷につながることも危惧される。企業には適正な価格転嫁の推進と同時に、物価上昇を超える継続した賃上げが求められると結んでいます。

価格転嫁率