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掲載日:24.05.01

荷主による2024年問題対応が加速~輸送能力の不足に対して協業、共同輸送・配送などさまざまな物流効率化の取り組み

 「物流の2024問題」に対する荷主による物流効率化への取り組みが加速しています。中長期的な取り組みとしては物流DXが徐々に進むとみられますが、目下のところ個社あるいは他社との協業が進められています。輸送能力の14.3%不足(NX総合研究所試算)分を補うことと、トラックドライバーの負担軽減に焦点を当てた物流効率化の取り組みが進んでいます。

〇モスフード、早朝無人納品へ転換
 モスフードサービスは、都市部の店舗を中心に納品時間を前倒して無人納品を行うなど、「物流の2024年問題」への対応を強化しています。都市部店舗での配送は交通渋滞などの影響により多くの時間を要することから、同社は、2020年4月から店舗納品時の対面検品レス(有人置き配)を開始し、ドライバーの滞在時間を1店舗当たり10分短縮させました。これを踏まえ、本年4月から都市部の店舗を中心に早朝無人納品を本格的に導入しました。
 従来は、店舗の営業時間に合わせるため、午前6時頃から午後2時頃までに納品を行っていましたが、都市部の交通渋滞などにより遅れが生じることがあり、ドライバーの労働時間の不規則化・長時間化の原因になっていました。これを改善するため、都市部の店舗(全体の約30%)で、午前4時から午前9時までに納品を完了する早朝無人納品に変更しました。交通渋滞などによる配送時間増加の抑制・低減を可能とします。
 また、全国9カ所にある物流拠点への在庫移送では、鉄道輸送および海上輸送を積極的に取り入れ、鉄道輸送が難しい冷凍品においては、関東から北海道と九州への在庫移送時にトレーラでの海上輸送(フェリー)を取り入れています。このうち関東から北海道への輸送では、セコマ(本社:札幌市中央区)と協業し、同社の北海道発関東着の輸送ルートの帰り便の活用を開始しました。これにより、コンテナトラックのドライバーがフェリーへ乗り込む必要がなくなり、物流人員の負担低減につながっています。

〇ファミリーマートとローソン、初の共同輸送で配送の効率化
 ファミリーマートとローソンは、東北地方の一部地域で、冷凍食品などを対象に、両社の物流拠点間の共同輸送を4月11日から開始しました。実証実験を除き、両社の本格的な共同輸送は初めてです。従来、ファミリーマートは宮城県多賀城市の在庫拠点から秋田県秋田市の配送拠点へ、ローソンは岩手県盛岡市の在庫拠点から秋田県秋田市の配送拠点へそれぞれ運行していましたが、翌週のファミリーマート用の車両の予測空き容量とローソンの積載予測量を確認して、1台に積載できると判断した場合には、盛岡市で輸送車両の空きスペースにローソンの商品を積み合せて、秋田市のローソン及びファミリーマートの物流拠点まで共同輸送します。
 輸送車両は10トン車で、物量が比較的安定する4~6月と9~11月に、火・木・金曜日の積載量条件が合致した日の昼から夜に実施します。対象商品はアイスクリーム、氷、冷凍食品などの冷凍商品です。共同輸送の距離は約120kmで、1回あたり56kgのCO2が削減されます。

 ローソンは、ワタミと配送トラックの「物流シェアリング」を4月6日から開始しました。ローソンの店舗配送用トラックの非稼働時間を活用して、ワタミの宅食の商品を埼玉県東松山市の製造工場から首都圏(東京都、埼玉県)の営業所約20カ所へ配送しています。同社は、チルド・定温商品の配送を1日3回から2回体制へ移行する取り組みや、常温商品の配送ダイヤを配送拠点ごとの物量にあわせた2パターン化運用(物量の多い曜
日と物量の少ない曜日に分けた配送ダイヤへの変更)にも取り組んでいます
 ファミリーマートは、AIを活用した自社開発の配送シミュレーターによる配送ルートの最適化(効率化)、コカ・コーラ ボトラーズジャパンとの物流面における協業(店舗配送トラックが非稼働となる時間帯に、ファミリーマートの常温商品配送に使用する取り組み)、曜日別配送(曜日別に異なる発注量に合わせた配送コースを設定する取り組み)の導入、常温商品におけるカゴ車納品(カゴ車に載せたまま店舗へ納品する取り組み)の拡大など、様々な物流の効率化に取り組んでいます。


ファミリーマート物流拠点
(宮城県多賀城市)

ローソン物流拠点
(岩手県盛岡市)