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掲載日:25.12.24
9月の価格交渉促進月間フォローアップ調査の結果、トラック運送業の価格転嫁率は低下
中小企業庁は、2025年9月価格交渉促進月間フォローアップ調査の結果を公表しました。トラック運送業における価格交渉の実施状況は業種別で最下位(30位)でした。コスト増に対する転嫁率は、発注企業の業種毎の集計では34.7%(前回3月は36.1%)、受注企業の業種毎の集計では36.5%(同37.6%)と依然低位にあり、3月時点から転嫁率が下がっている状況にあります。
中小企業庁は、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定しており、成果を確認するため価格交渉・転嫁の実施状況について、アンケート調査と下請Gメンによるヒアリングを実施しています。
価格交渉の実施状況は、「発注企業から交渉の申し入れがあり、価格交渉が行われた」を10点、「交渉申し入れがなかったが、価格交渉を実施した」を8点、「交渉申し入れがあったが、交渉を辞退した」を5点、「交渉を申し出たが応じてもらえなかった」をマイナス10点などとして点数化しています。トラック運送業は平均5.60点で、前回の6.21点より低下して30業種中最下位となりました。平均点が6点に満たなかった業種は、トラック運送業と廃棄物処理業の2業種のみでした。
価格転嫁の実施状況は、発注企業の業種毎の集計でトラック運送業は最下位で、転嫁率は1.4ポイント低下し、30%台にとどまった唯一の業種でした。受注企業毎の集計でトラック運送業は2.1ポイント低下するなど改善がみられませんでした。トラック運送業において、コストを「すべて価格転嫁できた」が10.0%、「7~9割できた」が11.6%、「4~6割できた」が8.3%で、この3分類で29.9%にとどまり、「1~3割転嫁」は29.2%、「0割」は22.1%、中には「マイナス」も0.4%(9社)ありました。
アンケート回答企業からの声として、「発注側が価格改定や移動費支給に迅速に対応し、労働負担軽減や取引の透明性を確保している」という声があった一方で、「価格交渉が形骸化し、附帯費計上拒否や自社ルール強制で負担が増している」、「値上げ要請は無視され、説明もなく一方的な対応が続き、適正価格改定が不可能」といった声も依然としてみられました。