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掲載日:25.12.03
EU/2040年のGHG排出削減目標の実質後退案を提示
~排出量取引も1年延期へ
日本貿易振興機構(JETRO)のビジネス通信によると、EU理事会は温室効果ガス(GHG)排出削減に関する2040年目標について、域内産業の競争力強化に悪影響を与えないよう柔軟な措置を認めるとして、欧州委員会の案を実質後退させ、欧州議会との交渉に入ることになりました。具体的には、EU全体のGHG排出量を2040年までに1990年比で90%削減する目標設定を、実質的に85%減に目標を引き下げる内容です。
EU域外のカーボンクレジットの活用がポイントです。また、EU域内では、2035年以降に内燃機関を搭載した乗用車の新車販売を禁止する措置の撤廃を求める声が高まっているなかで、理事会案は、今後の法改正で「再生可能エネルギーだけでなく、低炭素燃料などの役割を適切に反映することを欧州委に義務付ける」規定を追加しました
理事会案ではこのほか、ガソリン車などの道路輸送と化石燃料を用いた暖房を利用する建物などを対象に、27年から導入が予定されている排出量取引制度(ETS)の開始を1年延期することも明記しました。段階的な削減が予定されているETSの無償排出枠も削減を緩やかに実施する文言を盛り込んでいます。