最新業界動向:
掲載日:25.11.05
日本経団連/次期物流大綱へ提言、物流ハブ戦略立案を
~投資事例集も求める
日本経団連は、「2030年に向けた物流のあり方」について提言を行い、政府が策定中の次期総合物流施策大綱に対して意見書を提出しました。
提言では、商慣行見直しに向けた経済界・消費者の意識改革、新モーダルシフトの推進、国際競争力強化・成長戦略に資する施策、GX推進などの項目を立てました。目指すべき方向性として「物流の持続可能性確保と成長戦略としての物流政策」を掲げ、わが国立地企業のグローバルなビジネス展開を後押しする成長戦略としての物流政策を求めました。
具体的には、日本の物流拠点の国際的な競争力が低下し、貿易立国の危機に直面しているとして、わが国の地理的優位性を活かし、アジア地域から南北アメリカ大陸向けの貨物を集約して、物流ネットワークのハブとなるための戦略の立案と実行が急務と指摘しました。その一環として、成田空港の機能強化、成田空港と羽田空港の一体運営、両空港間の貨物転送時間の削減、海運と航空貨物の連携に取り組む必要性をあげました。加えて、船舶の大型化に対応した港の選択的な整備を求めました。
新モーダルシフトの推進に関しては、災害の激甚化に備えた鉄道ネットワーク強靭化への財政的支援、他の輸送モードと結節する貨物駅へのアクセス強化とともに、鉄道・内航共通のこととしてJ-クレジット制度を創出してモーダルシフトによる経済的メリットを提示することが必要であるとしています。
来年度から特定荷主に設置が義務付けられるCLOにも言及しました。親会社がグループ会社のCLOを一体的に担える仕組みを導入し、グループ一体的に物流効率化に取り組める仕組みとすることを提言しました。また、CLOの長期的視点での投資判断を助ける事例集を政府が提供することや、CLOの投資判断材料として物流大綱のKPI達成状況を政府が定期的に公開することを求めました。