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掲載日:25.11.05
日野とふそう/持株会社「ARCHION」に統合
~両ブランドを活用したプラットフォーム戦略を推進
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、2026年4月1日に事業開始を予定している持株会社の名称を「ARCHION(アーチオン)」とし、代表取締役CEOにカール・デッペン三菱ふそう社長、代表取締役CFOにヘタル・ラリギ三菱ふそう副社長が就任、日野自動車の小木曽聡社長は取締役CTO(最高技術責任者)となります。
ARCHIONは「統合プラットフォーム戦略」により、日野とふそう両ブランドの車両をお互いに活用することで、充実した製品ポートフォリオを提供します。現状のポートフォリオは、日野が大型・中型45%、小型50%、ふそうは大型・中型25%、小型70%ですが、それぞれの強みを生かして製品の競争力を引き上げます。
統合プラットフォーム戦略を支える開発・調達・生産・物流などの機能の統合・効率化にも取り組みます。調達は、購買機能を統合してコストを削減するとともに、製品統合によるスケールメリットを生かした効率化に取り組みます。小木曽氏は「マーケットでは競争になるが、お互いのブランドを大切にしていく」と語ります。
生産拠点・物流ネットワークを最適化するため、2028年末までに5カ所あるトラック生産拠点を川崎製作所(神奈川県川崎市)、古河工場(茨城県古河市)、新田工場(群馬県太田市)に集約します。日野の羽村工場(東京都羽村市)はトヨタへ移管、ふそうの中津工場(神奈川県愛甲郡愛川町)は川崎製作所へ集約します。
単独での自助努力(アクティブポートフォリオ管理)に加え、シナジーとしてICE(内燃機関)車とZEV(ゼロエミッション)車のフルラインアップ、CASE技術およびインフラへの投資、調達や生産を推進します。特に電動車や燃料電池システムは世界トップレベルの開発・普及を目指し、自動運転領域の開発も加速します。
新持株会社は品川区に本社を置き、ダイムラートラックとトヨタがそれぞれ持分比率25%を保有し、26年4月に東証プライム市場への上場を目指します。今後数カ月で中期財務計画を作成します。
カール・デッペン代表取締役CEO候補者は「決意をもって前に進むには投資が必要。統合はその理にかなっており、新しいモビリティ社会に貢献したい。時間はかかるが、一般の株主にも株を持ってもらいたい」、ヘタル・ラリギ代表取締役CFO候補者(最高財務責任者)は「戦略に沿った資本配分により、持続可能な価値創造を実現していく」。小木曽聡取締役CTO候補者は「4社の力を合わせてCASE技術の開発を加速させ、商用車の未来をつくっていく」と語ります。
なお、ARCHIONは、弓型の構造物を意味するARCH(橋渡し)と、遠い過去から未来まで続くEON(ION=永続)を融合させた言葉です。