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掲載日:25.11.05
次期交通政策基本計画などの素案を提示
~多様な政策のベストミックスによる持続可能な物流の実現も目標の一つに
国土交通省は、9月25日、社会資本整備審議会計画部会・交通政策審議会交通体系分科会計画部会の合同会議を開催し、次期交通政策基本計画などの素案を報告しました。交通政策基本計画の素案では11の目標を掲げ、その中に「多様な政策のベストミックスによる持続可能な物流の実現」を挙げています。物流標準化・データ連携の推進、物流ネットワーク・システムの機能強化と効率化、モーダルシフトの更なる推進、国内物流の持続性を高める適切な連携と協働の推進など、多様な政策を組み合わせることで持続可能な物流を実現するとしています。
〇多様な政策を組み合わせ持続可能な物流を実現
次期(第3次)交通政策基本計画の計画期間は、2026~30年度の5カ年です。社会資本整備重点計画と一体化し、共通目標に「人口減少という危機を好機に変え、一人ひとりが豊かさと安心を実感できる持続可能な活力ある経済・社会の実現を目指す」を掲げました。
合同会議の冒頭で、国土交通省の鶴田浩久総合政策局長は、「国・地方・民間事業者の羅針盤としたい」と述べました。
次期交通政策基本計画は11の目標を掲げており、このうち物流に深くかかわるのは3つあります。まず、「多様な政策のベストミックスによる持続可能な物流の実現」として、次期「総合物流施策大綱」に基づき、 物流の効率化、商慣行の見直し、荷主・消費者の行動変容等、多様な政策を組み合わせることで持続可能な物流を実現するとしました。地域の新産業創出にも資する物流拠点の整備、地方創生を支える物流機能の強化、ラストマイル配送の維持・確保について、いずれも地方自治体の関与を強調したものとなっています。
「交通ネットワーク・システムの強化による国際競争力の維持・向上」では、国際物流のリスク要因に対応して多元化・強靭化を推進します。このため、従来の輸送手段・ルートを代替または補完する輸送手段・ルートの実態調査・実証輸送を実施するとともに、平常時から活用可能なBCPルートに関する調査を行います。
「気候変動の顕在化や世界的潮流等を踏まえたグリーン社会実現に向けた交通の実現」では、運輸サービスの利用におけるCO2排出量の標準的な算定方法を確立するとしています。輸送事業者の排出削減などの取り組みがサプライチェーンの中で適切に評価される仕組みなど環境価値を経済活用へ活用するための環境づくりを今年度から検討し、28年度までに構築するとしました。
今回提示された素案に対して、委員から、まちづくりや交通空白は旅客中心に描かれているとして「物流も大事。物流が機能しないと成立しない」などの意見があがったほか、複数の委員から鉄道貨物の記述が少ないと指摘する意見もありました。北海道物流の現実を踏まえて「ROE(この場合は費用対効果を示したものと思われる)に頼らないインフラ整備が必要」、「ネットワークを確保するため、民間のみによる費用負担は限界」などが指摘されました。
物流大綱検討会の座長である根本敏則氏から、「諸外国は自由貿易地域を指定しハブに成長している。成田空港の機能強化が必要。物流大綱と整合しつつも、物流の記述を増やして欲しい」と注文をつけました。