最新業界動向:
掲載日:25.09.03
日本商工会議所/物流効率化に向けた中小企業の取組状況
~発荷主と着荷主では進捗に大きな開き
日本商工会議所は、「早期景気観測(7月調査)」の付帯調査テーマに「物流効率化・取引適正化に関する取り組み状況と課題」を取り上げ、結果を公表しました。物流効率化に向けた取り組みには、中小企業の3割が前向きな対応を示しました。物流事業者では6割超の企業が前向きな対応を行っています。荷主企業では、発荷主のうち約4割の企業が物流効率化に取り組む一方、着荷主では約2割にとどまり、1年前と比較しても後退する結果となりました。
物流効率化の取組状況について、「取り組みを開始した」(20.0%)、「取り組む予定」(9.9%)を合わせて約3割の企業で前向きな対応がみられました。一方で、「必要性は認識しているものの取り組めていない」(15.6%)、「何をすればいいか分からない」(19.9%)を合わせて35.4%の中小企業は依然として十分に取り組めていない状況です。なお、「何をすればいいか分からない」とする企業は1年前の29.6%から約10ポイント減少しており、一定の理解は広がっているといえます。
「取引先の大企業が物流効率化を始めたことにより、小ロットから大ロットの配送となったため、倉庫の回転率が遅くなり、入金も遅くなった」(食料・飲料卸売業)、「着荷主側で発注をまとめてもらうなどの協力がない限り、配送回数の減少は難しい」(調味料製造業)などの声が聞かれました。
具体的な取組内容については、「物流コストの適切な価格転嫁の実施」(46.9%)が最も多く、次いで「発注頻度の見直しなどによる配送回数の削減」(42.1%)、「物流効率化に向けた設備・資機材・システムの導入」(30.1%)と続き、いずれも1年前よりも高い割合となり、具体化が進んできている状況がうかがえます。
物流コスト増加分の価格転嫁状況について、価格に「転嫁できている」とする割合は39.7%と前年調査から7.4ポイント上昇し、原材料価格増加分の価格転嫁率(60.2%)と比較すると低い水準ではあるものの、一定程度は進んできているとしました。