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掲載日:25.09.03

出入国在留管理庁と厚労省/「物流倉庫」分野での外国人育成就労を検討

 出入国在留管理庁と厚生労働省は、「特定技能制度及び育成就労制度」の受入れ対象分野の新たな追加も検討しており、その一つに「物流倉庫」分野が挙がっています。「物流倉庫」分野を追加することについて、業所管省庁である国土交通省の要望を踏まえ、検討・精査が進められています。

〇倉庫内業務に一貫して従事
 「物流倉庫」分野は、EC市場の拡大などによる保管需要の増加に伴い、物流倉庫の面積や稼働率が増加していることを背景に、ハローワーク経由の求人数/応募人数の値が2.54(2024年1月~12月)となるなど、人手不足は深刻化しています。
 物流倉庫業務は、検品・運搬・流通加工・出荷・在庫管理など多岐にわたり、貨物の入出庫量の波動に柔軟に対応するため、庫内作業員は一貫して業務に従事する必要があります。そのうえで多数の荷主からの多様な貨物を安全かつ効率的に取り扱う必要があることから、多種多様な貨物の性質・状態を踏まえた知識や取り扱いの経験が必要であり、専門性が高い業務です。
 こうしたことから、「物流倉庫」分野を、特定技能制度及び育成就労制度の受入れ対象分野に新たに追加を検討する分野の一つに加えられました。人材確保および3年間の就労を通じて技能を修得させる人材育成の観点から、育成就労産業分野として設定する方向で検討が進められています。

 人材受入れ機関として、倉庫業者、倉庫業者が業務委託した事業者、貨物自動車運送事業者を対象とし、受入れ施設として、倉庫業者、貨物自動車運送事業者、荷主が管理・運営する施設を対象としています。業界団体から事業者に過度な負担が生じないものにすべきとの意見があり、引き続き検討が進められています。
 育成就労制度における育成イメージとしては、3年間の就労を通じて、保管庫内において単独で荷捌き場で荷降ろしや検品、流通加工など倉庫内の業務に一貫して従事できる技能水準を習得し、特定技能1号評価試験に合格する考えを示しています。1年目は、入出庫貨物の受渡し、検品、仕分け、ピッキング作業を行い、表示識別・個数把握等の多種多様な貨物に対する知識を習得します。加えて、ラベル貼り、包装やり直しなど流通加工の技能を身に付けます。2~3年目は、多種多様な貨物の特性に合わせた移動や積み付け、保管庫へ格納するための技能、在庫管理技能、物流機器・施設の操作・点検・管理、作業全般の管理技能などを身に付けます。
 労災防止の観点から、物流倉庫では、転落、墜落や熱中症などの労働災害が考えられるとして、安全衛生の定期的な現場作業における安全教育・訓練、厚労省作成の安全衛生に関する教材を用いた研修の実施に取り組むとともに、庫内作業の機械化など省力化投資を進め、事故発生リスクの軽減を検討するとしています。

 今後、本年末の閣議決定を目指して、有識者会議と技能評価試験などを検討する専門家会議で議論や意見とりまとめが行われます。閣議決定後に、法改正が行われ、2027年4月から運用が開始される予定です。