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掲載日:25.08.06

公取委/荷主と物流事業者の取引~荷主都合による荷待ち発生に伴う追加費用無払いは独禁法上問題と

 公正取引委員会は、「令和6年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果」および優越的地位の濫用事案の処理状況をまとめました。
 荷主3万名、物流事業者4万名を対象に調査票を送付する形で実施され、回収数は荷主が1万5159名、物流事業者が1万2592名でした。また、公取委は調査結果を踏まえて、労務費、原材料価格、エネルギーコストなどのコスト上昇分を取引価格に反映させる必要性について協議することなく、取引価格を据え置く行為が疑われる事案に関して、荷主100名に対する立入調査を実施しました。
 この結果、独禁法上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主646名に対し、具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送付しました。
 注意喚起文書を送付した荷主の上位3業種は、協同組合(主に農林水産物の販売事業を営む協同組合)70名、飲食料品卸売業66名、建築材料、鉱物・金属材料等卸売業53名の順でした。
 問題につながるおそれがある行為類型は、「不当な給付内容の変更及びやり直し」が399件(全体の53.4%)、「代金の支払遅延」が118件(同15.8%)、「買いたたき」が96件(同12.9%)の順でした。「不当な給付内容の変更及びやり直し」のうち「荷待ちに関するもの」が372件に達し、全体の49.8%を占めました。同一回答者が、荷待ちとともに、給付内容(積載数量、発着地、集貨日など)の変更・やり直しに該当するものもありました。
 荷主と物流事業者との間で出発・到着時間を取り決めていたにもかかわらず、荷主都合で出発・到着時間が変更されたため物流事業者に荷待ちの待機時間が発生し、物流事業者にドライバーの人件費や待機時間料が発生したり、到着時間に間に合わせるため高速道路を利用して追加費用が生じた事例について、公取委は、追加費用を荷主が負担しない場合は、独禁法上問題となるとの見解を示しています。
 優越的地位の濫用事案については、1件の法的措置、1件の警告、29件の注意を行いました。
 法改正により、26年1月から施行される「中小受託取引適正化法」の対象取引に、特定運送委託が追加されることを踏まえ、公取委は、今後も荷主と物流事業者との取引に関する実態把握に努めるとともに、違反行為に当たり得る具体的な事案に接した場合には、法律に基づき厳正かつ機動的に対処するとしています。