物流現場訪問:
掲載日:25.08.06
日本通運・JR貨物・T2/国内初、自動運転トラックと貨物鉄道によるモーダルコンビネーション実証開始
日本通運、JR貨物、T2の3社は、6月20日~24日、日本国内初の自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた「モーダルコンビネーション」の実証を行いました。今回は、貨物列車から自動運転トラックへ積み替え作業が行われる現場を取材しました。
〇第一弾として北海道⇒関西へ輸送
今回行われた「モーダルコンビネーション」の実証では、雪印メグミルクの常温品を北海道から関西へ輸送しました。T2が開発した「レベル2自動運転トラック」による幹線輸送に取り組みつつ、T2が2027年から開始を予定している「レベル4自動運転トラック」を用いたモーダルコンビネーションも視野に入れて、国内初となる新たな輸送モデルが確立できるか検証を行いました。
この取り組みは、2024年11月から、日本通運、全国通運、日本フレートライナー、JR貨物、T2の5社で検討を進めてきたものです。貨物鉄道輸送の全国ネットワークと、T2が有する自動運転トラック技術とを融合させ、「自動運転トラック×貨物鉄道」のモーダルコンビネーションを実現することで、自動運転区間における輸送ルートの複線化を構築するほか、柔軟な輸送力の増加を可能とすることなど、物流の可能性を広げることを目的としています。
実証にあたって、JR貨物とT2の両社は、「31フィートタイプの共用コンテナ」を共同開発しました。この共用コンテナを用いることによって、モーダルコンビネーションの際に、貨物列車からT2のトラックへ直接載せ替えることを可能としました。
今回の実証では、北海道(JR貨物 札幌貨物ターミナル駅)から関東(同社 隅田川駅)までの区間は、共用コンテナをJR貨物の貨物列車で輸送します。隅田川駅では、到着した共用コンテナをT2の「レベル2自動運転トラック」に載せ替えます。隅田川駅から関西(JR貨物 百済貨物ターミナル駅)までの区間は、自動運転トラックで輸送します。自動運転トラックにはドライバーが乗車し、高速道路の一部区間で行われた『自動運転トラック運行』は、ドライバー乗車のもとで行われました。雪印メグミルクの北海道の物流拠点から札幌貨物ターミナル駅までの集貨と、百済貨物ターミナル駅から大阪府内の物流拠点への配達は、日本通運が担当しました。
実証では、JR貨物隅田川駅において、貨物列車からT2のトラックへの「共用コンテナ」積み替え作業の検証を行ったほか、北海道から関西間における一貫オペレーションの検証、自動運転トラック輸送区間を中心に輸送品質の検証を行いました。
今回の実証のルート/役割イメージ
トップリフターが貨物列車から「31フィート共用コンテナ」をピックアップ(隅田川駅)
「31フィート共用コンテナ」を「自動運転トラック」に積み替え
JR貨物 取締役兼常務執行役員関東支社長篠部武嗣氏(左)とT2 代表取締役CEO森本成城氏(右)
「31フィート共用コンテナ」を搭載した自動運転トラックが、大阪市内に向け出発。一部区間を『レベル2』の自動運転で走行