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物流現場訪問:
掲載日:25.06.04

オイシックス・ラ・大地/同社初の冷凍商品専用の物流拠点(神奈川・厚木市)を訪問

 オイシックス・ラ・大地(本社=東京)は、同社が運営するOisixの冷凍商品の物流拠点となる「ORD厚木冷凍ステーション」(以下、ORD厚木)を2024年1月に神奈川県厚木市に竣工し、全国の取引先から入荷した冷凍商品を集約・出荷するための拠点として同年6月より本稼働しています。今回はこの物流拠点を訪問しました。

〇作業自動化で人にやさしい庫内へ
 同社は、コロナ禍による巣ごもり需要で宅配量の大きな伸びを記録しましたが、コロナ沈静化に伴い落ち着いたことから、売上拡大のための次なる戦略として、冷凍商品の保管・出荷の専用拠点としてORD厚木を構えました。同社にとって冷凍商品の専用物流施設を構築するのは初めてのことでした。施設は4階建て、延床面積は2万2879㎡の規模で開発されました。
 冷凍・冷蔵の物流ニーズは、共働き世帯の増加、ネットスーパーの普及などにより、冷凍食品の消費量増加などを背景に、需要が高まると予測されています。その一方で、冷凍・冷蔵倉庫の需要そのものもひっ迫しています。国内の冷蔵倉庫は1970~1990年代に整備されたものが多く老朽化が懸念されており、また、冷媒として特定フロンを使用する倉庫も多く、フロンガス規制により代替フロンもしくは自然冷媒への転換が必須となります。このため、古い冷凍・冷蔵倉庫の建て替えや撤去が進むと見込まれています。
 同社は、多額の設備投資が必要となる冷凍倉庫の新設ではなく、東京システム運輸グループの東京ロジファクトリーの施設を1棟借りすることを選択しました。

 同社の冷凍食品の商品取り扱い数は増加傾向にあり、今後もニーズ増加を見込んでいます。Oisixの会員約35万人の多くが冷凍食品をネットで購入しており、「出荷と在庫保管のキャパシティがひっ迫してきた。安定した冷凍商品の物流体制の構築を目指す」と、ロジスティクス本部の荒木厚木冷凍ステーション長は語ります。
 同社は、神奈川・海老名市に基幹の物流拠点(ORD海老名ステーション)を構えており、Oisixの冷凍食品は、これまでは同市内にある別の冷凍倉庫で保管・出荷を行い、人海戦術により対応してきました。冷凍商品の製造拠点に近い厚木市に冷凍商品の専用物流拠点としてORD厚木を配置しました。
 同拠点は、最先端ステーションとしてマテハン機器を導入しました。トーヨーカネツが中心となり、自動倉庫、自動移載機、スパイラルコンベアなどを導入、自動化へと舵を切りました。入荷された冷凍食品は、入荷されたパレットや庫内専用パレットの荷姿で、3階と4階に保管されます。保管数は3000パレット、繁忙期の12月には4000パレット近くまで拡大します。出荷数は平常時で約1万4000ケースとなりますが、「キャパシティ的には少し余力がある状態」と荒木氏は分析します。
 電力には全て再生エネルギー電力を使用しており、サステナブルリテールを目指す同社の事業成長を後押しします。メイン物流拠点であるORD海老名ステーションと連動することで物流効率化を目指し、収益力を高めることができました。荒木氏は「ピッキングを除いた作業を自動化することで、庫内の労働環境を整え、人に優しい倉庫にすることができた」と新拠点の効果を語りました。


「ORD厚木冷凍ステーション」



荒木厚木冷凍ステーション長

入荷バース


奥に見えるのが自動倉庫。出荷準備がかかったケースは、天カット(段ボール上部をカット)され、SASエリアに自動搬送

ピッキングはLEDランプの指示通りに、下の循環箱に投入するのみ


検品を兼ねた梱包作業

出荷バース。出荷先に運ばれた荷物をカゴ車に積み込む