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掲載日:25.06.04

次期「総合物流施策大綱」策定に向け、有識者検討会を設置
~輸送力見通しの再検証も

 政府は、次期「総合物流施策大綱」の策定に向け、「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」を設置し、5月8日に第1回会合を開催しました。今後、月1回のペースで11月までに計8回の会合を重ね、提言を取りまとめます。提言を基に、総合物流施策大綱を策定し、25年度末までに閣議決定する予定です。

〇検討の方向性として3つの視点を提示
 現行の「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」が目標年次を迎え、次期大綱の検討に着手したものです。「第6回我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」(3月14日開催)において、石破首相から「2030年度までの期間を物流革新の『集中改革期間』と位置付け、『総合物流施策大綱』を策定すべく早急に検討を開始するよう」要請を受けていました。
 有識者検討会は31人で構成され、座長に根本敏則敬愛大学特任教授、副座長に兵藤哲朗東京海洋大学教授が就任しました。初会合では、物流を取り巻く動向や物流施策の現状と課題について国土交通省が説明を行いました。加えて、今後の検討の方向性として、「2030年度に想定される輸送力不足への対応」、「国際競争力の強化」、「災害時の有事の備え」の3つの視点を示しました。

 続いて、出席者全員が意見を述べました。2024年問題として懸念された深刻な輸送能力不足が局地的にしか発生しなかったことを複数の委員が指摘しました。輸送需要の減少だけでなく、2024年問題が浸透して関係者が真剣に取り組んだこと、特に食品をはじめリードタイムを緩和したことなどが積載効率向上につながったとする発言もありました。足元の経済動向や物流需要の変化等を反映した「輸送力見通しの再検証」について、早期の議論を求める意見もありました。
 地方公共団体による物流効率化などの取組事例について、北海道名寄市による「道内の中継輸送・共同輸送拠点の整備構想」や、京都府城陽市による「高速道路IC直結の基幹物流拠点の整備」などが報告されました。これに対し、「自治体が取り組みやすくする工夫が必要」、「地方の中小物流事業者が生き残れる政策を」、「まちづくりなど物流拠点単体だけでは議論できない」などの指摘がなされました。
 このほか、「商慣行見直しなど荷主の意識改革にかかるコスト負担のあり方を議論すべき」、「フィジカルインターネット実現に向けたアップデートを」、「T11型パレットに合わせてトラックの仕様見直しを」、「北海道新幹線の札幌延伸に伴う鉄道貨物のあり方についての議論を」、「物流データを共有する仕組みをつくることが重要」などの意見も挙がりました。
 「5年後に物流が変わった姿を示す必要がある」として、幹線や港湾の自動化など物流DXに言及する意見があった一方、自動運転が実現した際に、現状さまざまな役割を担っているドライバーについて議論する必要性も挙げられました。


次期「物流施策大綱」の策定に向けた検討の方向性として示された3つの視点

【2030年度に想定される輸送力不足への対応】
 〇物流革新の新機軸の検討
  ・サプライチェーン全体の担い手確保・処遇改善
  ・自動運転や次世代エネルギー等のイノベーションに対応するための物流産業全体の構造転換
  ・全国レベル・地域レベルの輸送体系の再構築
  ・物流を支えるための産業界・自治体等の役割分担や連携体制の確立
  ・消費者一人一人の一層の意識改革・行動変容
 ○足元の経済動向や物流需要の変化等を反映した輸送力見通しの再検証

【国際競争力の強化】
 ○アジア諸国等の物流需要を取り込むためのサプライチェーンの基盤強化
  ・「グローバルサウス」等との国際物流のシームレス化や物流事業者の進出支援
  ・強靱な国際物流ネットワークの構築や物流インフラの整備

【災害等の有事への備え】
 ○緊急時の物資輸送ニーズ等に即応するための強靭な物流の構築・確保
  ・平時からの体制構築や関係機関の相互連携の充実・強化