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掲載日:25.05.07
JR貨物/事業計画公表、総合物流企業グループへ進化
~回転型不動産ビジネスへ参入
JR貨物は、3月31日、「2025年度事業計画」を発表しました。篠部武嗣取締役兼常務執行役員経営統括本部長は、目指すべき方向性について、「企業風土を見つめ直し、鉄道物流への信頼回復に努めるとともに、グループ社員の力を結集して総合物流企業グループへの進化と不動産事業の発展を新たなステージへ進める」としました。
事業計画のポイントとして、「作業記録の書き換え等の不適切事案の再発防止」を一番に挙げました。事業改善命令で示されたJR貨物の安全確保のために講ずべき措置を確実に実施します。社長直轄組織として監査部内に設置した「業務監査室」において、外部有識者の知見を得ながら関係部室と連携して、継続的に内部統制状況の確認、強化・充実を図るとしました。
「安全基盤の強化と安定輸送の追求」では、安全最優先の職場風土を醸成します。開設した「刻心塾」の活用による安全教育の深度化とサテライト化による教育機会拡大を検討します。また、災害等輸送障害時の対応力の強化を図るため、代替輸送ルートの複線化、代行体制構築の迅速化に向けたフェーズフリーの取り組み、鉄道不通時を想定したBCP対策を推進します。
「グループ一体での鉄道×物流の総合力による輸送量の拡大」では、JR貨物ロジ・ソリューションズなどグループ会社が持つ倉庫機能を結節点として「ロジスティクスソリューションプロバイダー」を目指した体制の構築・稼働に取り組みます。
「不動産事業の拡大と新規事業の展開」では、“回転型不動産ビジネス”に参入し、不動産売却で得る資金を再投資する「回転型」と安定的な賃料収入の確保と鉄道とのシナジー創出を目的とする「保有型」の双方を推進します。
設備投資額は335億円としました。仙台貨物ターミナル駅移転事業などの「成長・戦略投資」に189億円、山陽線列車脱線事故偏積対策などの「維持・更新投資」に146億円としています。
収支計画は、JR貨物単体で、鉄道事業における営業収益1539億円、営業費用1602億円、営業利益△63億円。関連事業における営業収益214億円、営業費用79億円、営業利益134億円。全事業計で営業利益70億円、経常利益55億円としました。連結経常利益は74億円を見込みます。