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掲載日:22.08.03

中小企業庁/価格交渉・価格転嫁の実態調査を実施~トラック運送業の価格転嫁状況は27業種中最下位

 中小企業庁は、エネルギー価格や原材料費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、昨年9月に引き続き、本年3月を「価格交渉促進月間」と設定して活動し、その成果を確認するためアンケートや下請Gメンによるフォローアップ調査を実施しました。発注側企業との価格交渉の協議状況を業種別に集計した結果、トラック運送業の評価スコアは対象27業種中26位でした。さらに協議結果とも言えるコスト上昇分に対する価格転嫁の状況は27業種中最下位の27位となり、トラック運送業における価格転嫁が進んでいないことが浮き彫りになりました。

〇価格転嫁状況は27業種中の最下位
 中小企業庁は、価格交渉が頻繁に行われる3月を「価格交渉促進月間」に設定しました。その成果を確認するため、下請Gメンによるヒアリング調査(約1560社)を4月に行いました。調査対象は、地域特性や業種バランスに配慮し、過去にヒアリングを実施した事業者等から選定しました。過去のヒアリングにおいて、慣習等によりコストが取引価格に反映できていない状況や発注企業との間で十分な価格交渉が行われていない状況等がみられた事業者を優先して選定しています。続いて5月・6月には中小企業等15万社に対して、親事業者(最大3社分)との価格交渉や価格転嫁に関するアンケート調査を実施しました(回答1万3078社)。調査対象は経済センサスの産業別法人企業数の割合(BtoC取引が中心の業種を除く)を参考に抽出されています。
 直近6ヶ月間の価格交渉の協議について、「話し合いに応じてもらえた」と回答した割合が6割程度と最も高いものの、「リスクを恐れて協議を申し込まなかった」、「協議の申し込みを行ったが、応じてもらえなかった」、「取引価格を減額するために、発注側企業から協議を申し込まれた」など価格協議できていないとする回答も約1割程度存在しました。価格転嫁については「まったく実現していない」とする回答が約2割存在する状況でした。
 発注側企業との価格交渉の協議状況は、業種別に集計しランキング化されています。直近6カ月間における価格交渉について、「発注側企業に協議を申し込み、話し合いに応じてもらえた」もしくは「発注側企業から協議を申し込まれた」ものを10点とするほか、「発注量の減少や取引中止を恐れて協議を申し込まなかった」を▲3点、「発注企業に協議を申し込んだが応じてもらえなかった」を▲7点、「取引価格を減額するために、発注側企業から協議を申し込まれた(協議に至らない一方的な通知を含む)」を▲10点などとして、業種別に平均点を算出してランキング付けしたものです。
 この結果、価格交渉の協議が相対的にできている業種は、1位繊維、2位鉱業・採石・砂利採取、3位機械製造と続き、反対に価格交渉の協議が相対的にできていない業種は、25位廃棄物処理、26位トラック運送、27位金融・保険となりました。
 トラック運送では、「発注量の減少や取引を断られる恐れがあること等を考慮し発注側企業に協議を申し込まなかった」が16.8%と比較的高い結果が出ました。
価格協議の結果とも言えるコスト上昇分に対する価格転嫁状況については、価格転嫁ができている業種の1位は化学、最下位はトラック運送でした。コスト要素別(労務費、原材料費、エネルギーコスト)に分けても価格転嫁状況の結果は変わらず、いずれもトラック運送が最下位でした。
 トラック運送では、「価格転嫁できた割合が0割(費用が上昇している中、価格が据え置かれている)」という回答が47.3%と約半数に及んでいます(業種全体では21.1%)。
 最後に、下請けGメンによるヒアリング結果から、トラック運送の生声を取り上げると、「以前、交渉を申し入れた際、他社は対応できていると転注・発注減を匂わされ、交渉の申し入れ自体を躊躇している」「燃料価格高騰が激しいため、燃料サーチャージ制導入を依頼したが断られた。従業員の賃金引き上げはできない状況」「荷主と物流会社の力関係で交渉しても要求どおりには認めて貰えない」などが挙げられました。
 中小企業庁は、状況の良くない発注側の個別企業に対して、下請け中小企業振興法に基づく「指導・助言」の実施を検討するとともに、業種別の自主行動計画やガイドラインの拡大に取り組む考えです。

直近6ヶ月間の発注側と価格交渉の協議


直近6ヶ月間のコスト上昇分のうち、価格転嫁できた割合