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掲載日:21.09.01

経済産業省/「電子商取引に関する市場調査」結果を公表~国内EC市場規模は初の減少。一方で物販系は2割増と大きく伸長

 経済産業省は、2020年の電子商取引に関する市場調査を実施し、電子商取引市場の実態等について取りまとめた結果を発表しました。
 日本国内の消費者向け(BtoC)電子商取引市場規模は19兆2,779億円(前年比0.43%減)と調査開始以降初の減少に、企業間(BtoB)電子商取引市場規模も334兆9,106億円(同5.1%減)と減少しました。
 日本国内の消費者向け(BtoC)電子商取引では、新型コロナウイルスの感染症拡大の対策として外出自粛の呼びかけ及びECの利用が推奨された結果、物販系分野が大幅に市場規模を拡大(同21.71%増)しました。巣ごもり消費の影響で生活家電、衣類、食品・飲料、生活雑貨・家具をはじめすべてのカテゴリーで市場規模が拡大しました。一方、新型コロナウイルス感染症の影響で旅行サービス、飲食サービス、チケット販売が縮小した結果、サービス系分野の市場規模が大幅に減少(同36.05%減)しました。市場規模全体としては、830億円の減少となりました。
 全ての商取引に対するEC化率は、BtoC(物販のみ)で8.08%(同1.32ポイント増)、BtoBで33.5%(同1.8ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展しています。
 世界の電子商取引市場規模に関する推計も示されています。2020年の世界のBtoC電子商取引市場規模は4兆2,800億USドル、EC化率は18.0%と推計され、24年には6兆3,900億USドル、EC化率は21.8%にまで上昇すると予測されています。2020年の電子商取引市場規模を国別でみると、中国が最も大きく2兆2,970億USドル(同27.5%増)、次いで米国7,945億USドル(同32.0%増)、英国1,804億USドル(同34.7%増)、日本1,413億USドル(同14.4%増)、韓国1,106億USドル(同27.0%増)の順と、中国の市場規模の大きさが際立っており、2位の米国とは3倍近くの開きがありました。

 世界の越境EC市場についても触れています。越境ECでの商品の配送について重視することに関するアンケート結果(越境EC利用者40ヵ国3万5737名回答)を紹介しました。越境ECでの商品の配送で「とても重要」な事項の回答として「購入前における配送料金の情報提示」(66%)が最も高く、次が「一定額以上購入時の配送料金の無料化」(53%)でした。この上位2項目はいずれも配送料金に関するものであり、世界的に消費者が配送料金に敏感である証左であるとしています。

〇昨年は、米国内で大幅な配送遅延が発生
 報告書では、米国におけるEC市場動向にも触れています。
 昨年3月~6月、11月~今年1月に多くの州でロックダウンが発令されたことにより、ECの利用が急増し、既存のECプラットフォーマーはもちろんのこと、小売り各社は一気にECを強化しました。これまで実店舗での購入が中心だった日用品や生鮮食品なども、極めて短い期間にオンラインでの購入にシフトしました。このため米国内EC関連物流を担うUSPS(米国郵政公社)、UPS、FedExはインフラとリソースが逼迫し、全国的に大幅な配送遅延が発生しました。自社配送サービスを提供するAmazonも例外ではなく、最大1カ月程度の配送遅延が発生しました。その後、物流インフラのキャパシティ増強により、配送遅延は20年夏頃にはほぼ平常化しましたが、11月のブラック・フライデーからクリスマスに向けたホリデー・シーズンに際しては、配送料金の上乗せに加えて集荷制限を課しました。

〇オンラインで注文し、店舗に出向いて受け取る「クリック・アンド・コレクト」が拡大
 実店舗を持つ米国小売大手の多くはEC部門の強化とオペレーション改善に取り組みました。特に、オンラインで購入して店舗でピックアップする「クリック・アンド・コレクト」は、消費者ニーズと既存物流サービスの需給ギャップを埋める役割を果たしました。
 小売り大手のWalmartは、車に乗ったまま商品を受け取れる「カーブサイドピックアップ」サービスを提供し消費者の支持を得ました。このサービスは、消費者がオンラインで注文し、指定された時間・店舗まで車両で出向き、店舗の従業員が注文品を車両に積み込むサービスです。この成功を受け、生鮮食品事業者をはじめアパレル、電子機器、書籍などの大手小売事業者も同様のサービス提供を開始し、行動制限解除後も継続的に利用されています。

越境ECの配送で重視すること