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掲載日:20.11.04

物流効率化のためのテクノロジー活用について考える:第54回
「地図」をめぐるグーグルとゼンリンの新たな戦い(その3)~ルート検索サービスの比較

 本コラムでは過去2回、グーグルとゼンリンそれぞれが提供する地図関連サービスを比較評価してきました。今回は、両者の「ルート検索サービス」について比較したいと思います。
 筆者は、Googleマップとゼンリンの電子地図ソフト(「いつもNavi」)を使用して様々な2地点間のルート検索を行いました。それぞれの検索結果には一長一短があることがわかりました。
 検索事例として今回は、大阪府において物流施設が比較的集積している茨木市から関西国際空港(泉佐野市)まで、「有料道路を使用する」という条件でルート検索を行いました。その場合に示される代表的な2つのルートが次の図の赤いライン、青いラインです。赤いラインは阪神高速4号湾岸線を使用するルート、青いラインは近畿自動車道を使用するルートです。
 地図上で見ると、赤いラインの方が直線的に2地点間を結んでいるため、一見、最適なルートのように思われますが、実際の渋滞状況を考慮すると、青いラインの方がやや早く到着できるという結果になることが多いようです。
 Googleマップの場合は、この2つのルートの両方が示され、赤いルートは所要時間1時間29分、青いルートは所要時間1時間19分であることが表示されます。これに対して、ゼンリンの電子地図は、青いルートのみ示されます(所要時間はGoogleマップと同程度です)。

図 Googleマップとゼンリン電子地図によるルート検索例


 この結果を見ると、Googleマップの方が優れているようですが、Googleマップの場合は、ルート検索を行った時点での渋滞状況を反映した所要時間しか分からないのに対して、ゼンリン電子地図(「いつもNavi」)の場合は、将来的な日時を設定して、その日時に予想される所要時間を示してくれます(なお、この「いつもNavi」の使用方法等については、本コラムの第23回「物流効率化のためのテクノロジー活用について考える-「デジタル地図」の物流における活用例~輸送の「距離」さらには「時間」を測る-」でご説明していますので、よろしければご覧ください)。そのため、深夜ならば所要時間1時間20分ですが、朝のラッシュ時間帯は同1時間40分近くかかるといった比較も行えます。
 また、ゼンリン電子地図「いつもNavi」は、車種別(軽自動車・普通車・中型車・大型車)でのルート検索を行えますが、Googleマップには、まだ、そのような機能は無いようです。
 このように、Googleマップとゼンリン電子地図のルート検索機能は、示されるルートの優劣そのものには大きな差は無いようなのですが、そのルート検索結果の表示方法や、ルート検索における条件設定方法については、多少の違いがあります。実際にルート検索を行う場合は、この両者の仕様の違いを考慮して、より自分の目的に適した方を選択するのが望ましいと思われます。
 また、この両者を比較したことから言えるのは、前回2回の本コラムでは、Googleマップとゼンリン地図のいずれがより正確かという点に注目していましたが、両者の正確性が拮抗してきた現在、今後は地図を使って、どのようなことを調べられるかという検索機能の良し悪しも重視されるようになっていくかもしれません。